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AKB48Gにおける「組閣」の存在意義と価値の変化①

 
AKB48G(AKB48グループ)の「組閣」というものをご存知だろうか。
ここ数年のうちに行われた「組閣」はY⚫︎hoo!のトップニュースになっていた記憶もあるが、AKBファン以外の人からしたら、「組閣」と言われても「???」だろう。
 
 
大分前になってしまったが、去る3月26日、「春の人事異動」と称してAKB48Gは組閣を行った。AKB48はこれまで姉妹グループ全体を巻き込んだものを含めれば4回の組閣を行っている。(各姉妹グループのみでの組閣は除く)
 
 
今回はAKB48Gにおける「組閣」の説明から意義を考え、その存在価値の変化やについて個人的見解を好き勝手に書いていく。
 
 
 
 
まず、ご存知の通り組閣は本来政治用語であり、その意義は以下の通りだ。
 

 

日本において、内閣総理大臣就任予定者が、新たに内閣を組織すること、またその作業・手続を指すが、一般的には内閣改造の際の作業・手続も含める。組閣 - Wikipedia

 

 
AKB48の組閣を理解するために砕けた表現にしてしまえば、「内閣を構成するメンバーの入れ替え、ポジション移動などの決定」となるだろうか。
 
 
ではAKB48における「組閣」とはどのようなものだろう。
それを理解するためにはまず、AKB48Gの「チーム制」について知る必要がある。
 
 
AKB48Gファンにとっては当たり前のことなのだが、ライトファン・一般の方には意外と知られていないのがこの「チーム制」である。AKB48及び姉妹グループであるSKE48NMB48HKT48は、もちろんグループとして活躍していて、シングルCDを歌うメンバー=「選抜」が世間に出ることが多い。しかしその「選抜」「非選抜」という区分だけでなく、メンバーはほぼ全員「チーム」というものに所属している。
 
 
2015年5月現在、国内の各AKB48Gには以下のようなチームがある。
 
AKB48→チームA、チームK、チームB、チーム4、チーム8
NMB48チームNチームM、チームBⅡ
※AKB以外はチームに所属していない「研究生」がいる。
※AKBのチーム8は、TOYOTAプレゼンツで47都道府県から選ばれたメンバーで構成されているチームであるため、他のグループとは少し立ち位置が異なる。
チームKⅢはインドネシアジャカルタを拠点とするJKT48が持っている。
 
 
 
主に各グループ名の頭文字を取って名前が付けられているのだが、ファンではない一般の方の中は、「チームAは一軍、チームKは二軍…といった具合にメンバーがチーム分けされていて、シングル曲を歌ってテレビによく出る『選抜メンバー』は全員チームAに所属している」と勘違いしている方もいると思う。
 
 
第一回の組閣までは、AKB48においてはこうした「人気の偏りの傾向」があったのも事実だが、これについてはまた後ほど語らせていただくとして、とにかくチーム分けは人気順で決まっているものではないということをここではご理解いただければと思う。
 
 
チーム分けは原則として、「加入期」で決まっている。(あくまで「原則」である)
 
すなわち、
チームA→1期生、チームK→2期生、チームB→3期生…(姉妹グループも同様)といった具合である。
そして「チーム」に所属するメンバーは、「研究生」に対して「正規メンバー」と言われる。
 
 
では4期生以降はどうなるのかというと、まず全員が研究生としてひとつのチームように活動を始める。
(厳密に言うと1〜3期生も加入当初は研究生という形を取り、一定期間を経て選ばれた16人がチームを編成することができるのだが、ややこしいので1〜3期生は全員そのままチームを編成する、というような意味合いのまま話を進めさせていただく。)
 
 
研究生として活動を始めた4期生以降のメンバーは、各チームの公演メンバーに欠員が出た際*1、そのメンバーの代理として正規チームの公演の出演することを主な活動としていく。最近ではチーム研究生として公演を行うことが当たり前になっていることが多いが、研究生の仕事はあくまで「欠員補充」であるという考えは根強い。
 
 
そして重要なのはここからである。
4期生以降の「研究生」は、いつまでも研究生のままでいるわけではなく、各チームのメンバーが卒業や活動辞退によってグループを離れた際、研究生の一人がその枠に「昇格」していくのだ。これは研究生にとって一大イベントであり、一体誰が正規メンバーに昇格するのか、という点はグループのファンにとって最大の関心事であったりする。
 
 
このように、チームに4期生以降のメンバー(原則として)が入っていくことで、チームは必ずしも同期だけの構成ではなくなっていく。
 
 
しかし、一人ずつ研究生が昇格していく制度であるがゆえ、どうしてもそのままだとやはりチームの「○期生集団」というイメージは強くなっていくし、メンバーにとっても「周りがずっと同じメンバー感」は当たり前になってくる。
 
これが良いか悪いかは別として、秋元康先生は常に新しいこと、誰も考えないようなことを追い求める方である。現在がどんなに素晴らしい状態だとしても、「ずっと同じ」ではいつかは飽きられてしまうことを、きっと誰よりもわかっているのだろう。
 
 
そこで2009年8月23日、「AKB104選抜メンバー組閣祭り」(コンサートタイトル)にで発表されたのが、AKB48として初のチーム再編成である「組閣」である。わかりやすく言うと、今までのチームメンバーを崩し、全体の構成をシャッフルしたのである。
しかもそれをコンサート終わりのMCで大々的に発表し、その場でチーム編成をひとりひとり名前を呼びながら公開するということが行われたため、唖然とするファンと涙するメンバーがただただそこに存在し、現場は地獄絵図だったと言われている。この初めての組閣の様子は、今では伝説と化している。
 
 
正直言って私はこのとき、まだAKB48のファンになってから日が浅く、これを聞いたとき一体何が起こっているのか全然理解できなかった。ようやく全体を理解できたのは、新チームで新公演が始まった頃だった。だがこれを理解できなかったのは、メンバーも昔からもファンの方も同じだったようだった。
 
 
私事になるが、当時推しメンであった佐藤亜美菜(さとう あみな)ちゃんは、この組閣で所属チームをチームAからチームBに移すことになった。発表された瞬間の彼女の呆然とする顔は未だに忘れられない。あのときの彼女の気持ちを私が察することを、今でも少し躊躇してしまう。
 
 
ただ私が注目したいのは、この初めての組閣が持つ「意味合い」である。このときの組閣は、「新しいAKBの幕開け」という意味合いが強かったように思う。
 
慣れ親しんだチームが崩れるのはさみしいけれど、そのままでいては何も変わらない、だからまたここから新しいAKBを見せていこう。
 
組閣を受け入れた彼女たちからはこんな決意が随所から感じられた。「大人」が決めた突然の「シャッフル」に必死について行こうとする彼女たちの姿は美しかった。
 
 
組閣後の新チームKによって行われた新公演*2「RESET」の表題曲、「RESET」の1番のにはこんな歌詞が綴られている。
 
 

ねえ君は覚えているだろうか?

慣れて来てしまったあのステージ

そうメンバー気づいていなかった

恵まれたまわりに甘えてたあの頃さ

目の前にはいつも沢山見守る人がいて

仲間たちが支えあった

抜け出せない生ぬるい水

 

風を入れろ!チームよ、目を覚ませ!

今の場所で立ち上がれ!

風を入れろ!今日からは新しい

OH 我らがチームK

 

 

実際、このときの組閣は正規メンバーの大量卒業を受け、研究生の大量昇格も含めて組閣を行ったという側面もあるのだが、AKB48における組閣は、「これからが楽しみなわくわくする何か」であるはずだった。しかし、ここ数年に行われた組閣はそうではないような気がする。

 

なんだかAKB48ファン以外の方にも組閣をついて知ってもらえたら嬉しいと思って組閣の説明から書き始めたら想像以上に長くなってしまって、全然価値の変化とか個人的見解を書かないままここに来てしまった。誤算だった。

 

 

というわけでこの記事は2つに分けることを今決めた。途中に記事は幾つか挟まる可能性は高いが、続きはまた今度にさせてほしい。

 

 

 

 

*1:主に48G関連以外の「外仕事」が欠員の理由であることが多い

*2:AKB48Gは各々の劇場において、チームごとに16曲程度のオリジナル曲からなる「公演」を行っている。このときの組閣ではチームの再編成を機に公演が一新されたため「新公演」と呼んだ。